(1949) 《苏州夜曲》映画《果てしなき情熱》より~
(1949) 《苏州夜曲》
映画《果てしなき情熱》より
演唱:山口淑子(李香兰)
作词 : 西条八十
作曲 : 服部良一
君がみ胸に 抱かれて聞くは
投君怀抱里 无限缠绵意
夢の船唄 恋の歌
船歌似春梦 流莺宛转啼
水の蘇州の花ちる春を
水乡苏州 花落春去
惜しむか柳がすすり泣く
惜相思 柳枝依依
花をうかべて 流れる水の
落花逐水流 流水长悠悠
明日のゆくえは 知らねども
明日飘何处 问君还知否
こよい映した ふたりの姿
倒映双影 半喜半羞
消えてくれるな いつまでも
愿与卿 热情永留
髪に飾ろか 接吻(くちづけ)しよか
为卿理青丝 身儿紧相偎
君が手折りし 桃の花
郎折桃花枝 慎毋染珠泪
涙ぐむような おぼろの月に
云间明月 分外清丽
鐘が鳴ります 寒山寺
寒山寺 钟声摇曳

製作年1949 公開年月日1949/9/27 上映時間91分 製作会社新東宝=新世紀 服部良一の楽曲が全編を彩る昭和歌謡映画。[雨のブルース」、「蘇州夜曲」、「湖畔の宿」、「夜のプラットホーム」、「私のトランペット」、「セコハン娘」、「ブギウギ娘」が挿入歌として使用されているが、冒頭に「服部良一の半生記ではない」という但し書きが表示される。 引揚者の一人作曲家三木太郎は天涯孤独、薄汚いアパートの部屋と三文キャバレーだけが彼の世界である、三文キャバレーの歌手福子と給仕のしんは三木に対してひそかな愛情を抱いていた、だが三木は恋を語る事が出来ない、彼には忘れられない人があった、小田切優子--その優子とは信州の片田舎でふと言葉をかわしただけであった、そして名前も知らず住所も知らず別れたのである、消す事の出来ない想いが唄になる“湖畔の宿”もその一つだ、そして心のウサのすてどころは酒に求める外はない、夜更けの舗道で酔払った三木の耳に、女の悲鳴、乱れる足音、男の鋭い声が流れる、短刀を手にした暴漢が女に迫っている、三木はビックリした。その女こそは忘られぬ優子ではないか、男の肉体がもつれあって暴漢は倒れた、刑は一年、三木は刑務所を出て来た、そして彼の留守を待っていたのはしんである、しんの真心を知った三木はしんとの結婚を約束した、だが本当にしんを幸福にする事が出来るだろうか、三木は酒にひたりながら考えるのだ、夜のプラットホームで優子のと三度目の邂逅、だが優子は既に人の妻であった、しかし忘れる事が出来ない、“夜のプラットホーム”のメロディーはキャバレーから流れてくる、それは優子忘れじの三木の魂の叫びに外ならない、しんの真心から愛情が判れば判る程三木の心は苦しい、だが優子は既にこの世の人ではなかった、三木が訪れたフランス風の高い窓からのぞいたベットには肺を患って死んで行った優子の死顔が見られたのである、雨の銀座裏、“雨のブルース”のメロディーが流れて、アパートの一部屋で三木は服毒自殺を図ろうとしたが、しんにとめられた、そしてしんはいうのだ「私も可哀想だけど、貴方も可愛想なのね、二人とも片想いだったんですもの」と……「いつまでも待ってますわ」というしんの声を思い出しながら三木は未来をみつめる眼を輝かして海辺にいつまでも立ちつづけていた。